
働き盛りは、口の中が疲れ気味の年代でもあります。四十五歳から五十四歳の日本人のうち、実に88.44%の人の歯茎に炎症が見られるなど、壮年期から熟年期にかけて、歯周病やむし歯がピークを迎えます。この時期を乗り越えれば8020(八十歳で自分の歯が二十本あること)達成まであと一歩です。口腔ケアの「不安」をなくし、「ファン」になってください。
働き盛りに多く見られる高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病は、歯の病気をも悪化させます。しかもこれらの病気は、ドライマウス(口腔乾燥症)や味覚障害も誘発し、食べ物をよくかむことを妨げます。さらに働き盛りは愛煙家の多い世代でもありますが、喫煙も歯周病と深く関係しています。
四、五十代こそ、自分の生活習慣を見直し、日々の口腔ケアをできるだけ丁寧に行うべきなのです。
もう一つおすすめしたいことがあります。ぜひ、歯科医と上手に付き合ってください。
たとえば当院では、五十代を中心とした中高年患者さんを診療する場合、むし歯や歯周病を治療するだけでなく、骨の腫瘍、舌がん、歯肉がんなども診ています。口の中をくまなく診察することで意外な病気が見つかることや、日々の悩みが案外簡単に解決することもあるのです。
先日、入れ歯がすれて痛いといって、六十代の男性が来院されました。診察すると上あごの歯茎に良性の腫瘍ができていました。入れ歯がこの腫瘍にすれることで、激痛を起こしていたのです。腫瘍を摘出した今では、快適に食事を楽しんでおられます。
丁寧な口腔ケアは大人にも子どもにも必要です。フロスや歯間ブラシ、歯ブラシはもちろん、鏡を使って口の中をよく観察して、健康な口腔を保ち、元気で生活できる人生を楽しみましょう。 |